トランザクションの探索

　　・暗号通貨の透明性

　　・トランザクション内の情報へのアクセス方法

　　・ビットコイン取引の説明 - ビット単位で見る

　　・情報によって何がわかるか

　　暗号通貨の真の価値は透明性にあります。 例えば、ビットコインの取引はすべて公開され、追跡可能で、公開台帳であるビットコインブロックチェーンに永久に保存されます。つまり、インターネット上においては誰でも閲覧することが可能です。

　　ビットコイン取引にあたって個人情報提示の必要はないが、毎日40万件以上ある取引の一つ一つを追跡することができるため、他の決済システムの仕組みとは全く対照的です。

　　一方、データサイエンスの知識があれば、ビットコインのパーミッションレス・ブロックチェーンの細部を照会し、特定の取引の詳細や全体的な使用状況などを調べることができます。

　　暗号通貨の利用が増え続けるにつれ、ブロックチェーンの利用状況をマイニングする能力は価値あるものになります。

　　暗号通貨が何らかの形で法律の外で運用されているという企業や政府の主張に対して、ブロックチェーン業界は、AMLやその他の犯罪行為を監視・執行するためのツールを企業や政府に提供しています。

　　経済的自由を実現するために

　　暗号通貨トランザクションの透明性は、個々のユーザーに全く新しいレベルの権限をもたらします。ウエスタンユニオンやマネグラム、国内の銀行など、既存の決済手段を用いて国際送金を行う場合、コストがかかり、何日もかかる可能性が高いだけでなく、そのプロセスを可視化すること自体困難です。

　　それに対して、暗号通貨取引では、BTCやETHなどの暗号通貨を送金する際、いつ取引が確認されたか、そのためにどのような手数料が使われたか、送金した暗号通貨がどこに行ったかを確認するための取引出力のコピーを正確に見ることができるのです。

　　また、これらは中央の機関を介さず、数日ではなく数分以内に行われます。インターネットに接続できる環境であれば、世界中どこからでもアクセス可能です。

　　それでは、暗号通貨取引の詳細を拡大して見てみましょう。まず、取引内の情報にアクセスする方法を説明し、銀行取引との比較してみます。

　　ビットコイン取引内の情報へのアクセス方法

　　ブロックエクスプローラによって、暗号通貨取引内の情報にアクセスすることが出来ます。ブロックエクスプローラはブロックチェーン内に格納されている暗号トランザクションを閲覧するために使用される（そのプロセスについては、ビットコインのマイニングについての記事で詳しく説明済）と考えてください。

　　Blockchain.comは、2011年にブロックエクスプローラーを発表しました。検索クエリのように、取引ID、アドレス、または特定のブロックのいずれかを開始点とすることができます。

　　ここでは、ビットコインを送ったと仮定し、その取引の情報をコピーすれば、ブロックチェーンエクスプローラーに貼り付けることができます。

　　もしあなたが自分のNodeを走らせるだけの技術力があれば（Nodeを走らせる方法についてはこちらの記事を参照）、他のサービスに頼る必要はなく、直接この情報にアクセスすることができます。

　　・取引情報は階層化されており、そのため、検索の入口として3つのポイントが考えられます。

　　・ブロック - これは、関連するアドレスを含むトランザクションのバッチをグループ化したものです。新しいブロックはそれぞれ前のブロックを参照しているため、連番が振られています。

　　・アドレス - アドレスは、資金の行き先であり、銀行口座に相当するものと考えてください。すべての取引は、アドレスに関連付けられます。

　　・トランザクション - 特定のアドレスに資金が送られる1つの例です。

　　ブロックから順に、トランザクションの送信先アドレスや個々のトランザクションを調べたり、逆にトランザクションから順に、送信先アドレスや最終的に含まれるブロックを調べたりすることが可能であるのです。

　　ここでは、その階層を理解すると同時に、ビットコインブロックチェーン内の資金の流れを理解する必要があります。

　　ビットコインの取引フローを理解する

　　ビットコインの取引について詳しく説明する前に、ビットコインの取引の論理について、皆さんがよく知っている銀行取引になぞらえて説明します。

　　銀行口座には、「借方」と「貸方」の合計である「残高」があり、残額がいくらあるかを示しています。

　　借方とは支出のように残高を減らす取引で、貸方は逆に残高を増やす取引です。

　　ビットコインも同じような仕組みですが、言葉やロジックが少し違います。

　　・未使用資金 - 使用することが可能な資金です。ビットコイン口座は、保持しているアドレスに関連するすべての未使用資金を合計して残高を作成します。これらはUTXOとして説明されているのを見かけますが、基本的には、受信され、移動されていないトランザクションです。

　　・使用済み資金 - 取引を行う際、未使用資金にアクセスし、新しいアドレスに送り、その時点で使用済み資金となります。

　　つまり、ビットコインのブロックチェーンは、資金の前方移動の記録なのです。ブロックチェーン上の特定の場所であるアドレスに関連付けられた未使用資金は、ブロックチェーン上の他の場所に移動するトランザクションの資金として使用され、その移動はマイナーによって促進されます。

　　資金の支出は、取引先と手数料を示すトランザクションの中で記述され、この動きは入力と出力で表されます。

　　・入力 - 未使用資金の出所であり、トランザクション内で移動して使用済みになるもの

　　・出力 - 新しいアドレスでUnspentになるSpent資金の宛先。

　　理解しやすいシステムではありませんが、ビットコインの取引は、すべて資金のフォワードフローで成り立っています。BTCを送るには、取引に必要な資金である入力が必要です。入力は、それ自体が以前の取引の最終製品（出力）です。

　　送信された取引は処理され（手数料を差し引く）、資金は入力から使用され、新しいアドレス（出力）で未使用の取引となる。

　　ビットコインの取引の仕組み

　　ビットコイン取引の論理と用語について少し理解できたと思いますが、ビットコインの具体的な取引も見てみましょう。2016年の例を使っています。

　　・日時 - この取引は2016年6月17日17:41に発生しました。

　　・ステータス - 取引が確認済み（緑）か未確認（赤）か。確認済みとは、その取引が少なくとも6つのブロックに含まれることを意味します。

　　・トランザクションハッシュ - トランザクション内のすべてのデータは暗号通貨的にハッシュ化され、ブロック内で統一された英数字の文字列で参照できるようになります。

　　・受領時刻 - 資金を受領した日時。

　　・サイズ - トランザクションが表すデータ量で、バイトで測定されます。ビットコインの1ブロックの最大サイズは1MBです。

　　・重量- これは、異なるトランザクションのサイズを比較するために使用される測定単位である。ウェイトの測定は、ブロックの最大サイズとの相対的なものです。2016年現在、各ウェイトユニットはブロックの1 / 4,000,000を表します。つまり、この特定のトランザクションでは、それが追加されたブロックの4,000,000の容量のうち900を占有していることになります。

　　・ブロックに含まれる - 取引が追加されたチェーン内のブロック番号です。

　　・確認事項 - 取引が追加され、それゆえ有効とみなされたブロックの数。 この取引は2010年に行われ、新しいブロックは10分ごとに確認されます。

　　・総入力額：手数料を含む総送金額。

　　・総出力 - 受領した資金の総額.

　　・手数料 - このトランザクションを新しいブロックに含め、それをビットコインのブロックチェーンに追加するために採掘者に支払われた手数料の金額です。

　　・バイトあたりの手数料 - トランザクションのサイズに関連する手数料です。

　　・重量単位当たりの手数料 - 取引の重量に対する手数料

　　・取引時の価値 - 取引されたBTCを米ドルで表した価値（取引時）。

　　サマリー情報の下には、入力（前述）を提供した資金源アドレスと、出力（前述）を提供した資金先アドレスが表示されています。

　　ビットコインは未使用の資金の記録に過ぎないので、資金が移動すると、未使用の取引は新しい取引の入力となり、最終的にはブロックチェーンのどこか別の場所で出力となります。

　　入力項目

　　取引への入力は、送信されるBTCの価値と、取引が有効であることを確認するために必要な関連手数料をカバーする必要があります。このセクションには、送信者のアドレス、送信されたBTCの金額、支払った手数料などの詳細が含まれます。

　　出力

　　取引されたBTCを受け取った人のアドレスが記載されています。また、受け取ったBTCの価値（インプットから手数料を差し引いた金額）も記載されています。

　　「詳細」の向こう側に「使用済み」と赤字で書かれているのがわかると思います。これは、このBTCが次の取引で使用されたことを示しており、資金の前方移動に関するポイントを示しています。

　　イーサリアムのブロックチェーンは、Gasと呼ばれる若干異なる料金体系を持ちながらも、非常によく似た仕組みで動いています。ガス料金はビットコインの取引手数料と同様で、マイナーに支払われるが、その計算は取引の複雑さに基づいている。

　　イーサリアムの場合、取引は単にETH（ネイティブ通貨）の移動であったり、より多くの計算能力を必要とするスマートコントラクトの実行を促進したりするため、より複雑なものとなっています。

　　イーサリアムの手数料はガスで計測されますが、支払いはイーサで行われます。ガスへの変換は、より使いやすい単位を提供するためですが、非常に紛らわしいです。ガス自体はGweiで表示され、1Gweiは0.000000001ETH（10-9ETH）に等しいため、ガス料金は0.000000001Etherではなく、1Gweiと表記されることになるのです。

　　イーサリアムの手数料については、また別の記事で説明します。

　　ビットコインの歴史をお手元に

　　ビットコインの取引の仕組みに詳しくなると、その歴史についても手に取るようにわかるようになります。

　　樹木の幹の断面には年輪があり、樹齢だけでなく、成長を阻害した環境や促進した環境など、樹木の一生の中で重要な出来事を示しているのです。

　　ブロックチェーンを照会する方法を学べば、その歴史に浸ることができるのと同じことです。例えば、ここに史上初の商業ビットコイン取引のTxIDがあります。2010年5月22日にLaszlo Hanyeczが10,000ビットコインでピザを購入したことが有名である。

　　取引への入力と単一の出力が表示されます。取引所がなく、価格履歴がないため、当時の価値は0.00ユーロと記録されています。

　　手数料は0.99BTCで、これは47,000ユーロに相当します。

　　透明性の活用方法

　　暗号通貨トランザクションの透明性は、ブロックチェーン分析の業界全体を活性化させています。この高度なデータサイエンス技術により、政府やヘッジファンドは、違法または違法な意図を持って資金を動かしている人を追跡するのを容易にします。

　　しかし、この透明性については、暗号通貨コミュニティの中でも意見が分かれています。

　　肯定的な意見として、ある取引が規制対象となれば、その取引を追跡し、実在の人物と結びつけることができるため、犯罪に対する強力な武器になります。

　　まさに、これにより、Twitterのハッキング/ビットコイン詐欺（2020年7月）の犯人が捕まりました。

　　このように政府機関は、テロから人身売買に至る犯罪資金の追跡や、闇市場の閉鎖にブロックチェーン分析を使っているのです。

　　それに比べて、従来の金融システムの透明性を考慮すると、このような犯罪を解決するのは困難であるのは自明です。

　　一方、プライバシーを犠牲にしてまで透明性を確保すべきではないと強く感じている人たちもいます。そこでは、プライバシーコインや個人情報（KYC）を必要としない分散型取引所の使用することを主張しています。

　　どちらの立場をとるにせよ、暗号通貨が不正をしにくく、理解しやすく、確実にリスクの少ない通貨システムを提供していることは間違いありません。

　　暗号通貨は、透明性を徹底することで、21世紀の新しい金融のあり方を示しています。プライバシーをめぐる争いは今後も続くと思いますが、ビットコインの取引とその背後にある価値の流れの論理を理解することで、これらのより大きな疑問の背景を理解することができます。