暗号通貨取引とは

　　・暗号通貨取引とは

　　・暗号の取引におけるリスクの性質

　　・トレーディングとホドリングの違い

　　・地に足をつけることの大切さ

　　最近、暗号通貨の初学者を対象に最も学びたい事柄について調査したところ、「暗号通貨の取引方法」という回答が最も多い結果となりました。

　　暗号通貨は短期的に価格が変動しやすいため、取引するにあたって理想的な資産といえます。

　　ボラティリティ（価格変動率）の高い資産は、価格変動を利用してお金を稼ぐトレーダーにとっては魅力的です。しかし、ボラティリティが高いということは、その分リスクも高いということであり、初心者のトレーダーにとってはお金を稼ぐチャンスよりもお金を失うリスクのほうがはるかに大きいのです。

　　また、暗号通貨は新規参入が多く不安定な資産であるため、その暗号通貨の将来性を長期的に予測することは困難であるといえます。

　　それでも、初期に投資を始めた者は莫大なリターンを得ることができ、暗号通貨は普及率がまだまだ低いため、これからも大きなリターンを得られる可能性はあります。

　　このことから、暗号通貨にはチャンスと同時に多くのリスクも併存していると理解してもらえたと思います。

　　ビットコインのボラティリティを測定するには、その日の平均価格の変動（開始価格からどれだけ変化したか）を測定する必要があります。例えば10 回測定して、その価格変動を合計します。その和を二乗して、10（測定回数）で割ります。その結果の平方根が、その日のボラティリティ測定値になります。

　　1年間などの特定の期間を測定するには、365の平方根に毎日のボラティリティ測定値をかけます。

　　トレーディング（取引）と投資を区別する

　　前述のように、暗号通貨はリスクが高く不安定な資産ですが、短期的にも長期的にも大きなリターンを得ることのできる可能性を秘めています。したがって、暗号通貨の取引方法を学ぶことによって、リスクを管理し、お金を稼ぐ方法を見出す必要性があります。

　　本章ではポイントを明確にするため、暗号通貨でお金を稼ぐというのは通貨を買った値段よりも高く売ることだと仮定し（本章の後半では、この仮定よりもさらに複雑になる可能性について説明します）、ビットコインを例にとって説明します。

　　これらを踏まえて、今回紹介した暗号通貨で利益を得る2つの大まかなアプローチを考え、次の2つの質問を考えてみて下さい。

　　1.今後24時間、ビットコインの価格は上がるか下がるか？

　　2.今後4年間、ビットコインの価格は上がるのか下がるのか？

　　どちらの質問についても、ビットコインの不確実な価格変動を予測し、資金をリスクにさらす必要があります。上記の２つの質問の決定的な違いは時間軸です。それぞれの質問の答えを出すには、不確実な価格変動に伴う投資のリスクについて異なる考え方をする必要があるのです。

　　なぜなら、24時間後のビットコイン価格に影響を与えるものと4年後の価格に影響を与えるものは異なるからです。

　　確かに24時間後のチャートは4年後のチャートに深く関わっており、日々のボラティリティを集計することで長期的な予測を行うことも比較的容易になりますが、ある日の出来事に基づいて長期的な予測をすることはできませんし、その逆もまた然りです。

　　長期的な変動に影響を与える要因と、短期的な変動に影響を与える要因は異なります。

　　短期的なボラティリティに対して頻繁にお金を賭けるなどの売り買いを「トレーディング（取引）」といいます。

　　一方で購入後も長期的に保有し、その後売却して利益を得ることを投資といいます。

　　ビットコインの世界では、資産を長期保有することを「ホドリング」と言います。

　　もし、暗号通貨でお金を稼ごうとするならば、トレーディングとホドリングの区別とそれぞれに関連する意思決定の方法の違いを理解する必要があります。

　　逆に言えば、その違いを理解し、区別することができればトレーダーと投資家はどちらかにもどちらにもなることができるのです。

　　トレーディング vs ホドリング

　　トレーディングもホドリングもリスク管理が必要ですが、短期と長期という異なる時間軸で展開されるため、価格変動の仕方や、リスク管理のアプローチもそれぞれ異なります。

　　短期的な資産の価格変動や取引量を分析する方法として、テクニカル分析を使用することが一般的です。

　　一方、より広範囲に、そして、より長期間にわたって投資に作用する要因を考慮してリスクを測定することをファンダメンタル分析といいます。しかい、上記のような違いはあれど、どちらのアプローチもやはりリスクを測るということに帰着します。

　　そこで今回のセクションでは、暗号通貨の取引方法を学ぶ基礎として、暗号通貨取引に関する意思決定のプロセスを見ることから始めます。

　　テクニカル分析 - 価格とその要因の理解、価格データと価格チャートを読む、過去のトレンドの解釈、出来高と主要な価格指標について学ぶ。

　　ファンダメンタル分析 - 暗号通貨の主要な採用/性能/健康指標の理解、より広い経済との価格相関、利用可能な採用/価格モデル。

　　リスク管理 - リスクの測定方法、リスクと取引規模。

　　暗号通貨取引に関する意思決定の概念を理解したら、次は実際にやってみましょう。

　　初めての取引を行う – 評価に基づいて実際に取引を行う方法とそれらに関する内容を学びます。

　　ここからはなトレーディングの内容です。トレーディングに関する基礎を学び終えたら、レバレッジや自動売買のスピードアップなどより複雑でリスクの高いトレーディングツールについて説明します。

　　地に足をつける

　　トレーディングであれホドリングであれ、基本的には暗号通貨を買った時点より高く売れるかどうかを賭けることになります。「賭ける」という言葉を使うと少し怯んでしまうかもしれませんが、実際に取引はギャンブルの一種です。

　　その賭けに勝つためには、構造化したアプローチによって意思決定をスキルベースのものに落とし込み、勝率とリスクをしっかりと調整することです。

　　取引所に口座を開設し、自分の勘やツイッターの呟きだけを読んで売買を行うと、結局運任せになってしまいます。

　　そのような取引方法では、ほぼ間違いなく火傷を負うことになります。

　　トレードを学ぶことはポーカーを学ぶようなものだと思えばよいでしょう。経験豊富なプレイヤーが学びたての初心者に付け入る可能性があるため、十分な知識を習得するのが困難な状況に直面するかもしれません。

　　これはパレートの法則と呼ばれ、利益の大部分は少数の顧客によって生み出されるという法則です。つまり、暗号通貨取引で実際に利益を得るのはごく少数のトレーダーたちなのです。

　　特にホドリングではなくトレーディングをしたい場合には、しっかり地に足をつけていないと勝つ可能性は低いでしょう。初心者トレーダーの大半が資産運用に失敗するのは、暗号通貨の取引方法やパレートの法則などの基礎を理解できていないからではなく自分自身を理解できていないからです。

　　トレーディングには、市場の中で優位に立つための知識、数値の計算をはじめとする数学的なディシプリン（規律・スタイル）が必要です。しかし、それらと同じくらい重要なのは、明確な目標を持ちつつ精神的なディシプリンを持つことです。

　　そこで、初心者トレーダーは現実的な期待値を設定する必要があります。真剣に取引を始めようとするなら、トレーディングジャーナルと呼ばれるものに自分の行動を記録します。

　　精神的なディシプリンは、自分が何を達成しようとしているのか、そのためにトレーディングジャーナルはどのような役割を果たすのかについて正直に考えることから始まります。まったくの初心者が一晩で大金持ちになれる確率は、宝くじに当たるのと同じようなものなので、まずは現実的な目標から始めましょう。

　　例えば、車の運転を学ぶ際には運転シミュレータで練習をしてから道路に出ますよね？トレーディングはリスクを伴う活動であるため、車の運転を学ぶのと同じように適切な準備が必要なのです。

　　また、トレーダーの中でも成功する者は、他の経済行為によって得られるリターンを上回るリターンを得るだけで満足します。そうでなければ、機会費用は割引率として知られているはずです。

　　成功しているトレーダーはすべての取引で大成功を収めようとは思っていませんし、取引の多くは損失で終わります。そのことを理解し受け入れることが必要なのです。

　　負ける取引をするのが嫌ですぐに損失を取り戻したいと思ってしまう方は、トレーディング（あるいは他のギャンブル）に向いていないといえます。

　　また、運とスキルを区別することも重要です。単に運が良かっただけではないことを自分で納得できない限り、トレーディングの正しいやり方や勝ち方を見出したことにはなりません。トレーディングを後付けで合理化し、単に運が良かっただけでなく自分のスキルのおかげで成功したと考えるのはとても簡単なことです。

　　たくさんの猿の前に印字機を置いておけば、そのうち一匹はビットコインに関する報告書を作ることでしょう。しかし、その猿がサトシ・ナカモトになったわけではありません。これは生存者バイアスと呼ばれるもので、トレーディングにも同じ法則が当てはまります。効果的な意思決定に影響を与え失敗に繋がりやすい行動バイアスの1つです。

　　トレーダーにはさまざまなタイプがあり、その大きな違いは適切な分析を行うために割くことができる時間の長さです。トレーディング頻度は、分析に割くことができる時間と正比例しているのです。