簡単な取引戦略

　　・時間の重要性

　　・余裕資金を配分する

　　・明確な目的を持つ

　　・取引戦略としてのコスト平均法

　　取引とは、リスクを定量化し管理しようとすることです。暗号通貨市場は未発達であるため、本質的にリスクが高いわけですが、暗号通貨市場においても一般的な取引アプローチを適用することができます。

　　暗号通貨の取引をするうえで、暗号通貨の価格がどこから来て、取引所がどのような役割を果たしているかという基本的な仕組みとともに、何のために暗号通貨の取引がやりたいのか、そのためにどのようなアプローチを取るべきかという決断を迫られることになります。

　　その答えは、あなたが割くことのできる時間と、投資できる限度額で決まるはずです。

　　時間の重要性

　　「習うより慣れろ」という言葉は、誰もが知っていることでしょう。著名な作家であるマルコム・グラッドウェルは、何かを極めるためには才能と共に1万時間の練習が必要だという考えを広めました。

　　グラッドウェルの考えに対する反論も存在しますが、暗号通貨取引における時間と成功の間には明確な相関関係があります。基本を理解するために時間を割くことは必要ですが、それはステップの一段階に過ぎません。経験豊富なトレーダーは、自分のスキルを磨くのに何年もかけますが、スキル磨きにゴールはありません。

　　取引をするためには分析を行う時間が必要ですが、その時間や個人的な事情を考慮すると、自分に適した取引スタイルが分かります。

　　その際には、あなたのライフスタイルも重要な要素になります。フルタイムの仕事に就いている場合や家族がいる場合や、忙しい社会生活を送っている場合などは、必要な調査を行いながら取引状況を把握する時間はあるでしょうか。

　　トレーディングのライフスタイルが社会生活とは正反対であることは有名な話です。市場の変動と新しい情報の処理という絶え間ないプレッシャーは、ストレスを生み、睡眠に影響を与え、ひいては取引に関する意思決定がうまくいかなくなる可能性があります。

　　このような点を考慮するだけでも、あなたに合ったアプローチ方法を導くのに十分かもしれませんが、2つ目の重要な要素はあなたの裁量所得になります。

　　裁量所得の配分

　　取引の判断をするためにどれだけの時間を費やすかは、もちろん投資したい金額との兼ね合いで決まります。しかし、配分を考える前に必ず以下の規律を守ってください。

　　・失って困るようなお金は投資しない

　　・クレジットカード、学生ローンや住宅ローンの借り換えなどの負債を利用した投資はしない。

　　・プロではない投資家のトレーディング・アドバイスは鵜呑みにしない

　　・裁量収入のごく一部を投入する

　　・投資額が減少することを許容する

　　・何を達成しようとしているのか、頭の中でイメージしておく

　　裁量所得とは、所得税や必要な生活費を支払った後に残るお金のことです。いわば余裕資金のことで、投資や貯蓄に回ることができるお金です。

　　裁量所得の配分に特別な決まりはありませんが、リスク別に資産を分散させるべきだという考えは持つ必要があります。

　　最もリスクの低いもの、つまり貯蓄やインデックス型株式ファンドに最も多く、最もリスクの高いものには最も少ない割合で配分すべきです。

　　暗号通貨は本質的にリスクが高いので、裁量所得の5%以下という小さな割合で配分すべきです。

　　暗号通貨に強い関心を持つ人は多く、「オールイン（全賭け）」することについて語るツイートやインスタグラムの投稿を目にすることがありますが、裁量所得の100%を割り当てるのは非常に危険です。

　　自分の裁量所得がいくらになるかによって、どのようなアプローチをとるか決めればよいのですが、取引所に資金を預ける際には手数料がかかることを念頭に置いてください。また、少額での取引では、より大きなリターンを求めて、リスクの高い暗号通貨に誘惑されるかもしれないので注意が必要です。

　　目的を明確にする

　　基本的なことですが、取引や投資の意思決定で重要なのは、なぜそれを行うのかについて明確な考えを持つことです。お金を稼ぐというのは、目的としては具体的ではありません。

　　暗号通貨の取引で儲けようとするときには、リスクと比較をし、取引を正当化する必要があります。

　　フィアット貯蓄口座やインデックストラッカーファンドに資金を残すという声をよく聞きますが、「暗号を学ぶ」の前提では、暗号通貨は不換紙幣よりも健全なお金だと認識しています。ですから、一度リサーチをして、その前提を受け入れたら、フィアットではないものとの比較をする必要があります。

　　貴金属、収集品、不動産、美術品などがこれにあたります。これらから得られるリターンは、暗号通貨ほど魅力的ではないように見えるかもしれませんが、それはリスクがはるかに少ないためであることを念頭に置いてください。

　　以上より、暗号通貨はあなたの裁量所得の中で最適にリスク調整された分の投資であるということが理解できたでしょうか。続いては、リスクスペクトルについて説明します。

　　受取利息はビットコインで5％、他のコインでそれ以上のリターンを生み出すことができ、これは投資を始めるには良い数字です。

　　あなたの求めるリターンが合理的かどうか評価することは、あなたの野心そのものを表す重要な役割も果たします。暗号通貨の世界では、「月へ」や「ダイヤモンドハンド」という言葉をよく目にしますが、これは保有者がその暗号通貨の売却を考えていないことを意味します。

　　例えば、不換紙幣のシステムが間もなく崩壊すると考えているのであれば問題ありませんが、その可能性は非常に低いです。暗号通貨の価値は不換紙幣の用語で表現できるという事実が、その関連性を物語っているといえます。そのため、取引や投資戦略において重要なのはその出口を設定することです。

　　これは短期売買では自明のことですが（次回の記事で紹介します）、長期投資をする人たち、つまり保有者にとって、利益を出す（はずの）タイミングをあらかじめ決めておくことは価値があることなのです。

　　自分の投資した暗号通貨が強気市場で、数字が上がっていくのを見るのは楽しくて、現実から少し切り離されたように感じるかもしれませんが、市場が転換するとすぐに必然的にサイクルを経るので、利益を実現できないことに不快感を覚えるかもしれません。

　　ヒント：長期投資の場合、目標株価を設定し、15%上昇するごとに10%現金化する15/10ルールを検討しましょう。

　　もし売却することができないのであれば、他の方法でリターンを得ることができないか考えてみましょう。リスクスペクトルのアプローチを暗号ポートフォリオに適用し、大部分を暗号通貨口座に安全に保管することで、一部はDefi/Cefiを通じてリターンを得て、最小の割合で最大のリスクを取ることができます。

　　ここでは、暗号通貨の取引戦略について、複雑でなく少額で定期的に必要なものを紹介します。

　　コスト平均法

　　コスト平均法については、「暗号の稼ぎ方」でも紹介しました。コスト平均法（ドルコスト平均法と呼ばれることもある）は、同じ量の取引を定期的に行うことを指します。

　　コスト平均法の魅力は、ボラティリティやエントリーポイント選択に関する懸念を軽減することができる点です。長期にわたって定期的に取引を行うことで、価格の上昇と下降の両サイクルから利益を得ることができます。

　　もちろん、投資を考えている暗号通貨について、ファンダメンタルズ分析を行う必要はありますが、それ以降は投資の道筋がきちんと描かれています。

　　しかし、ドル・コスト平均法（DCA）はリスクフリーではなく、下落サイクルでは投資価値が下落し、当初の投資額を下回る可能性があり、そこから回復する確証もありません。

　　将来の値動きがそれまでの流れを持ち直す保証はないので、やはりファンダメンタルズ分析を行い、弱気市場のような長期にわたって投資額が減少する相場を見ても、多少のリスクを許容する心構えが必要です。

　　そして、それぞれ定期購入したものについて詳細を記入し、投資の計画をするスプレッドシートを作成します。以下の項目を含めるものが一般的です。

　　・日付

　　・投資内容

　　・投資額

　　・累積投資額

　　・購入価格

　　・クリプトの価値

　　・暗号累積値

　　・ポートフォリオ価値

　　・損益計算書

　　コスト平均法とパッシブ・リターン

　　コスト平均法投資に利回りを加えるには、利息がつくサービスを組み合わせるのがよいでしょう。これらにはソフトステーキング（約定なし）とハードステーキングがあり、利用することでより高いリターンを得ることができますが、資金は最低期間ロックされることになります。

　　パッシブ金利サービスのプロバイダは、顧客を「カウンター・パーティー・リスク」と呼ばれるものに晒すためリスクなしとは言えません。カウンター・パーティー・リスクとは、プロバイダが倒産したり、ハッキングされたりするリスクのことで、現在このサービスは資産保険を提供していないので、資金を危険に晒すことになります。つまり、タダ乗りはできないということです。

　　ヒント： DCAシートに金利の値を含めるようにする。

　　テクニカル指標を利用したコスト平均法

　　コスト平均法のルーチンを確立し、その仕組みと記録管理に慣れたら、テクニカル指標を使って通常の投資を調整することで、実際のトレーディングに移行することもできます。

　　目標としては、市場が買われすぎているときは投資比率を下げ、売られすぎているときは逆に調整することです。

　　これを行うにはさまざまな指標がありますが、十分に検討し、どれが最適かを決定する必要があります。例えば、移動平均、相対力指数（RSI）、ボリンジャーバンドなどのチャートツールがあります。

　　また、ドルインデックス（DXY）のように、価格と相関があると思われる外部指標により調整することもあります。

　　DXYは、主要貿易相手国の通貨バスケットに対する米ドルの相対的な価値を示す指標です。ドルの価値低下により、投資家はビットコインなどのような価値のある資産に目を向けるため、ビットコインや幅広い暗号通貨市場と逆相関の関係を持つ傾向があります。

　　ここでは、どのような指標やモデルも使用することができるので、自分に適したツールを選択しましょう。クリプト・インフルエンサーのプランBによって作成されたストック・トゥー・フロウモデルも人気のあるツールです。対象の暗号通貨の価格が彼の作成したモデルによって予測された価格の上下に動くと、DCA の購入を調整することができます。

　　ヒント：通常の購入から逸脱した場合は、その根拠を記録に残してください。

　　ファンダメンタルズ分析を用いた一括ホドリング

　　コスト平均法は、暗号通貨投資の最初のステップとして最適で、徐々に取引型の意思決定につなげることができます。しかし、これにはいくつかの欠点があります。自分のポジションを構築するのに相当な時間がかかり、市場の底値で投資しても決して利益を得ることはできないことです。

　　もしもエクスポージャーを取るならば、一括して投資することができますが、リスクはその一回の取引に集中します。

　　DCAも一括投資もファンダメンタルズ分析は必要ですが、一括投資の場合は、リスクが大きいため確実に分析しておく必要があります。

　　ファンダメンタルズ分析は、多額の貯蓄を投入する場合はより重要なものとなります。特定の暗号通貨の長期的な見通しについて、合理的な判断を下す必要があるため、利益を実現するために数年かかる可能性があることを受け入れる必要があります。

　　ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を組み合わせた一括ホドリング

　　ファンダメンタルズ分析に基づく長期投資を行おうとする場合、価格のエントリーポイントを決める必要があります。

　　もし分析の結果、長期的に大きな利益をもたらすことがわかったならば、最適なエントリーポイントによって得られる短期的な少ない利益は考慮しないかもしれません。

　　しかし、上記のようなテクニカル指標を使用して、一括購入の最適なポイントを決定し、その後ファンダメンタルズ分析が長期的に正確であることに確信して腰を据えることができます。

　　ここで紹介したものは初心者向けの簡単な暗号取引戦略であり、テクニカル分析をする時間や意欲がない人に最適です。