テクニカル分析では、価格の動きと出来高を解釈する必要があります。これまで、価格はどこから来るのか、取引所の役割、価格形成プロセスなど、価格の基本的な事柄について見てきました。
・ボラティリティの概念
・移動平均を理解する
・相対力指数とは何か
テクニカル分析では、価格の動きと出来高を解釈する必要があります。これまで、価格はどこから来るのか、取引所の役割、価格形成プロセスなど、価格の基本的な事柄について見てきました。
そして、価格を分析するための最も基本的な方法である価格チャートについて、ローソク足と出来高の指標により考察してきました。
このように情報を重ねることで、価格変動の流れをストーリーとして捉え、パターンやシグナルを分析して価格変動が次にどこへ向かうのかを推測することができるのです。
しかし、これらの基本的なツールだけでは、価格の全体像を把握することはできませんし、将来の価格を予測するのに十分な情報量とは言えません。
そこで、次のステップとしては、トレーディングツールとして指標を新たに用いて、価格の動きを把握することです。
ボラティリティの測定
ビットコインの話に戻りますが、ビットコインの価格がどれだけ上下するかはボラティリティ(Volatility)で測ります。ボラティリティは、取引において取るべきリスクレベルを測るものです。
例としてビットコインの日足チャートを見てみると、地震計のような山と谷が見えます。それぞれの動きは、地震計が地殻変動の激しさを示すように、買い手と売り手の活発な様子を表しています。
価格変動率とは、その日変化したパーセント(%)の標準偏差であると定義されています。簡単に言えば、価格が平均値から毎日どのくらい乖離しているかを示す数値です。
ビットコインのボラティリティの計算方法を理解することは重要ですが、測定値はオンラインで簡単に入手できますのでここでは2020年の一例を紹介します。この年のボラティリティ・インデックスは2~4%の間で推移していましたが、3~4月に10%を超える大きなスパイク(突出した安値)を記録しています。
地震の規模を示すマグニチュードで表すと、マグニチュード9レベルの大きな出来事です。この衝撃的な価格変動は新型コロナウイルス(Covid19)の影響によるものです。
ボラティリティ・インデックスが10%を超えるということは、その期間内の取引で同等規模のリターンが理論上では得られます。ちなみに、金のボラティリティは平均約1.2%、他の主要通貨は平均0.5~1.0%です。
ボラティリティは単純な平均値なので、短い期間で見るとさらに大きくなり、取引リスク自体が非常に高くなる可能性があります。
新型コロナウイルスのような現象は事実上予測不可能ですが、このような市場の衝撃は想定しておかなければなりません。定期的に取引を行うのであれば、価格が両方向に大きく変動する日があるのです。
ボラティリティは、ビットコインの平均価格の変動を見ることで計算されるため、チャートでは自動的に標準期間の移動平均をプロットし、スポット価格をチャート上に表示することができます。
移動平均は、テクニカル分析において使用することが出来ます。移動平均線は、テクニカル分析のツールキットの中で最も分かりやすい指標であり、移動平均の時間枠が長ければ長いほど、より効果的であると判断されます。
移動平均
移動平均は文字通り、一定期間の平均的な価格を測定し、時間の経過と共に移動平均線も動きます。
ビットコインの7日間移動平均は、過去 7 日間の価格を平均したものに曲線を描いたものです。価格チャートでは、実際の価格の動きと一緒に移動平均を更新していきます。
移動平均は、5日や7日などの短い間隔で始まり、その後200日までの長い間隔で計算されます。短い期間の移動平均はテクニカル分析に使用される傾向があり、それに対して、長い期間の移動平均(MA)はファンダメンタル分析を行うのに人気があります。
移動平均線は抵抗線の指標としても有用であり、長期的な価格を全体的に見て、価格の底値や天井値を推測するものです。
移動平均線の傾きは、急勾配であれば価格に勢いがあることを示し、平坦であれば活発ではないことが分かるため、市場の方向性を示す有用な指標となります。
下のチャートは2021年3月16日のもので、7日間に渡って3本の移動平均線を価格に対してプロットしたものです。
・価格は青色
・7日移動平均線は黄色
・20日移動平均線はオレンジ色
・100日移動平均線は赤色
チャートから、価格と短期移動平均線が密接にリンクしていることがわかります。長期的には100日MAがその下に伸びていますが、これらの指標が3月15日に起こった価格修復によって価格が収束することを示しています。
移動平均線が交差する地点は、最も強力な指標の一つです。
・短い移動平均線が長い移動平均線を下回れば下落傾向である。
・短い移動平均線が長い移動平均線を上回れば上昇傾向である。
・デスクロスとは、50日MAが200日MAを下回ることです。
例えば、ビットコインでよく引用される統計は、ビットコインの毎月の終値が200週移動平均線を下回ったことがないというものです。これはいわばビットコインが200週齢のとき最初に計算された平均です。
200 WMA は時計仕掛けのように増加し、長期的な価格の変動を全て平準化し、ビットコインの価値貯蔵としての機能が上手く働いていることを示しているように思えます。
移動平均は、200日移動平均の傾きに基づいて定期的な購入を決める指標となりますが、コスト平均と組み合わせて使用すると便利なツールです。
しかし、他のテクニカル指標と同様に、移動平均にも難しいものもあります。経験豊富なトレーダーは、指数移動平均(より最近のデータを重視する)や移動平均収束乖離(MACD)のようなより高度なレベルの指標を使用する傾向にあります。
また、移動平均と同様に人気のあるテクニカルツールには、Relative Strength Index(相対力指数)というものがあります。
相対力指数(RSI)
相対力指数(通常RSIと略される)は、特定の暗号通貨が買われすぎ・売られすぎ・ているかを示す指標です。
0~100のスケールで値を返すため、いわゆるオシレーティング指数と呼ばれます。70以上のRSI値は、暗号通貨が過度の売りから過小評価されていることを、30以下の値は買われ過ぎの状態を示す傾向があります。
RSIの計算は非常にシンプルで、基本的に価格が上昇した日と下落した日を比較します。以下の式で計算されます。
RSI = 100 - 100 / (1 + RS)
RSは、14単位期間の価格の平均上昇率÷同期間の価格の平均下降率です。単位は1日または1時間です。
このようにRSIは市場の勢いを表す指標ですが、もしRSIが70や30になるのを待ち、それに応じて売ったり買ったりするような単純なものではありません。
以下は、2021年3月16日のBTC/USDのRSI7日チャートの例です。
・リニア価格が上のペインにあることに注目してください。
・RSIは下のペインに表示され、重要な閾値である70と30がプロットされています。
・RSIは価格と比較的密接な相関関係にあり、3月14日の最高値74はその後の価格下落の先行指標として機能します。
市場は他の要因によって買われすぎたり売られすぎたりするので、RSIを単独で使用すべきではありません。
まとめると、RSIは先行指標であり、価格がこれからどのように推移するかを示す指標です。それに対して、移動平均は遅行指標の一例であり、これまでのパターンやトレンドの確認を示すものです。
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