チャートによる取引とパターン認識は暗号通貨取引に限ったことではなく、あらゆる資産取引の基本であるといえます。それらを理解するためには、まずチャートを自在にカスタマイズできるツールの把握が必要です。
1.チャートツールの概要
2.チャートパターン入門
3.ペナント・フォーメーションの例
4.チャート資料をクラウドソーシングする方法
チャートによる取引とパターン認識は暗号通貨取引に限ったことではなく、あらゆる資産取引の基本であるといえます。それらを理解するためには、まずチャートを自在にカスタマイズできるツールの把握が必要です。
最も人気のあるツールの1つにトレーディングビューがあります。ビットスタンプなどの暗号通貨取引所にアクセスするだけで、トレーディングビューの基本的な機能を無料で利用することができ、取引所のホームページにアクセスすると、トレーディングビューのオプションが表示されます。
よくわからない方は以下の記事を参考にしてください。
・暗号の価格チャートとは何か
・テクニカル分析とは
・先行指標と遅行指標について
・内蔵のチャートツール
トレーディングビューでは、設定された統計的手法や指標を適用し、分析に必要な作業を行うことができます。前提に、統計的手法や指標が値動きにどのような影響を与えるかを理解する必要があります。
また、指標や価格データのフィルタリング方法は膨大であるため、どの指標や価格データを選択するのかという点も重要です。
日付範囲
データをフィルタリングする最も基本的な方法の1つは、日付範囲によるものがありますが、ビットコインの直近1日の価格を見るのと、過去5年間の価格を見るのでは、視点が全く異なります。
テクニカル分析は、一般的に短期間のポジションに焦点を当てるので、短い時間枠内での分析に集中することになります。
また、大抵のトレーディングではローソク足が利用されます。ローソク足チャートについての説明は、知識ベースの記事(前半)で説明しています。ローソク足は、上下にローソクの芯のようなものが見える細い縦長の長方形です。トレーダーが特定の期間内の値動きを把握できるようにするもので、形がローソクに似ています。
芯は価格の高値と安値を示し、長方形は指定された期間内の価格の始値、終値を示します。また、ローソク足の色によって価格が上昇したか下降したかが分かります。
トレーディングビューでは、ローソク足の範囲を1分から3日まで設定することができ、1分単位の取引では、裁定取引により、わずかな利幅を何度も狙うものです。ローソク足の幅は、モメンタム(勢い)取引などの取引に適しています。
テクニカル指標
トレーディングビューでは、ドロップダウンメニューを開くと、利用可能なテクニカル指標が多く表示されており、その数も100種以上あります。そこで、自分がどのようなトレーダーなのか、どこに強みを見出すのかを考えて指標を選択する必要があります。
「暗号通貨を学ぶ」では、下記のカテゴリーに分類されるテクニカル指標をいくつか紹介しました。
・価格主導型 - 価格変動に特化したもの
・出来高 - 取引量に基づく
・先行 - 特定の方向転換を先行させる。
・遅行性 - 価格の特定の変化が起こったことを確認する。
例えば、標準的なテクニカル指標を選択すると、移動平均などの価格チャートが同じチャート上に表示されるか、RSI(相対力指数)のようにチャートの下に並列で追加のウィンドウが作成されます。
これらの指標は単独で使用するのではなく、ニュースやファンダメンタルズなど、取引チャートの中で定量化できないような要素と一緒に組み合わせて使用することが一般的です。
プライスチャートのパターン
テクニカル分析は、価格チャート内のパターンを探したり、価格や出来高の動きを自分なりに解釈してチャートに注釈を付けたりすると、より複雑なものになっていきます。
例えば、価格が支持線より下に動くか、抵抗線より上に動くかによって、値動きとの相関性が証明され、そのパターンが有効であることが認識出来ます。
その測定結果は成功率として知られていますが、残念ながらこれは1標準偏差のような客観的な統計値ではありません。テクニカル分析やチャート分析はそれ自体が主観的であるため、絶対的な参照表(成功率)が存在しないのです。多くの人が難しいと感じるのは、パターンの形成とブレイクアウト(上か下)の確認のための明示的な基準がないことでしょう。
多くのトレーディング戦略がある中で、どのトレーディング戦略を選ぶかによって、パターンの成功率は大きく変わるため、新規トレーダーが一つのパターンを信じ切ることは避けた方が良いと思います。
そのため、トレーディング・パターンは、価格を見極めるための幅広い手法の中の1つのツールとして考える必要があります。
以下の参考表は、トレーディングビューコミュニティのユーザーによって作成されたもので、4つのパターンのうち価格帯が作り出す一般的なパターンをうまくまとめています。
・継続 - 現在のトレンドの一時的な中断
・リバーサル - 現在の価格の方向が逆転すること。
・中立 - 価格の方向が大きく変化することが予想されるが、それが上か下かの具体的な確証はない。
・スペシャル - これらは、経験豊富なトレーダーのみが考慮すべき専門的なパターンです。
パターンを描くための基本ルール
チャートには一般的なパターンがありますが、取引ツールはそれらを識別してくれないので、自分で識別する方法を学習する必要があります。
チートシートからわかるように、継続と中立のパターンはパターン形成における値動きが対称的です。
これらは、大きな値動きが予想されるものの、その方向が定かではないことを示しています。パターンの上限と下限は、予想されるブレイクアウトのパラメータとして機能します。
ペナント・フォーメーションの例
チャートパターンがどのように機能するかを説明するには、例を挙げるのが一番なので、最も一般的な継続指標の1つであるペナントパターンを見てみましょう。
このパターンは、平均以上の出来高で上昇または下降した後、数週間の値固めと出来高の減少を経てブレイクアウトします。
このとき、高値と安値の幅が縮小し特徴的なペナント型が形成されます。トレーダーは、ペナントの上下のラインを交互に移動することで、予想されるブレイクアウトから利益を得て、反対側のラインで損切りをする取引を行います。
つまり、上方へのブレイクアウトが予想される場合、損切りはペナントの下限線より下になります。逆に、下方向へのブレイクアウトを予想する場合は、損切りはペナントの上限線より上になります。
また、パターンの種類に関係なく、常にストップロス(損切り)を設定しておく必要があります。これは、損切りになった場合の損失を軽減するためです。価格が上方にブレイクアウトすると思う場合、ストップロスをパターンの下限より下に設定します。これは、予想が外れ、下にブレイクすることで、価格がどこまで下がるかわからないため、その時点で損失が確定し、取引資金がすべてなくなる可能性があるからです。
ペナントを形成する前の価格と、ペナントからブレイクアウトしたときの価格の合計を基にすることができます。
リバーサル(反転)の意味は、その単語からも分かるように、現在の値動きと逆方向への動きをすることを指しますが、重要なのは、その反転パターンについて確信を持って取引をすることです。これまでどおり目標価格を計算し、予想が外れた時点で損切りをします。
リバーサルとはつまり、継続と中立のパターンに必要な対称性を維持できていない状態なのです。
プライスチャートの注釈
チートシートにあるようなパターンを識別するためには、価格チャート上にパターンを作成できるようになる必要があります。トレーディングビューはこのためのツールをすべて備えていますが、多少の練習は必要です。
トレーディングビューのアカウントを持っていなくても試すことができますが、アカウントがあれば注釈を加えたチャートの保存がより簡単になります。描画ユーティリティは基本的な描画/写真編集アプリケーションと同様で、トレンドラインの作成、テキストの作成、アイコンやラベルの追加などが可能です。
この膨大な作業には少し頭が混乱するかもしれません。しかし、暗号通貨の取引方法を説明するセクションで述べたように、成功への近道はないのです。取引には、学習と研究に膨大な時間がかかり、チャートパターンをうまく読み取る(特に成功率の評価)には、何度も取引をし、経験するしかありません。
取引サービスでは、リスクなしで自分の取引戦略を検証し、コードに変換することもできます。トレーディングビューでは、パインスクリプトという取引戦略を変換するためのシンプルな言語を提供していますが、データサイエンスのスキルがあれば、パイソンやアールなどの一般的なプログラミング言語を使って、簡単に独自のモデルを構築しバックテストを行うことができます。
クラウドソーシングによる新たな環境
上記のような分析を自分自身で行うことは容易ではありませんが、昨今のトレーディング業界においては、トレーダーは自分の戦略をより広いコミュニティと共有し、検証やフィードバックを得たり、経験豊富なユーザーが作成した戦略を利用することができます。
しかし、トレーディングと同様に、成功への近道は存在しません。もし、誰かがある戦略を使用する代わりにお金を払うように勧めてきたら、それが本当に自分が求めているものかどうかよく考えてみてください。
取引に慣れていない場合は、できるだけ多くの情報を吸収し、他の人の失敗から学んで、自分が失敗しないようにするために、より広いコミュニティを利用することが最善の方法です。
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