コンタンゴで稼ぐ方法

　　・ビットコインのコンタンゴとは

　　・ビットコイン先物の仕組み

　　・ビットコインを保有することで割安感を取り込む。

　　「learn crypto」基本的に暗号通貨の初心者を対象としていますが、このセクションでは、後半に進むにつれ徐々に複雑な内容になっていきます。ここまで学習した方は、機関投資家がどのようにして、成長する暗号市場で、その価値を高め、コンタンゴを通じて固有のリスクヘッジをしているかを理解していると思います。

　　コンタンゴとは何か？

　　「ビットコインのコンタンゴ」と聞くと、パーティか何かででダンスを踊るように聞こえるかもしれませんが、実際には、現物価格と先物価格の差のことを言い、それを利用して、流動性のリスクを相殺することができるのです。

　　コンタンゴを利用したトレードは、「裁定取引」としても知られ、現在の現物価格で購入すると同時に、先物価格で売却することにより、上昇市場で利益を得ることができます。

　　暗号通貨のような活況な市場では、将来の価格が現在よりも高くなることが期待されます。

　　このセクションで前述したように、歴史的に見れば、ビットコインのような暗号通貨は長期的に非常に良いパフォーマンスを見せており、ただ買って持っておくだけでもおいしいリターンが得られるかもしれません。

　　しかし、これまでのように、今後も良いパフォーマンスを見せるとは限りません。

　　ホドリングにはリスクがありますが、投資家のほとんどは、非対称リターンと呼ばれるものを期待し、ホドリングします。特に、資金の少ない暗号投資家であれば、数万円のビットコインやイーサリアムを購入し、数年間で10倍、20倍になることを期待してじっと我慢しているかもしれません。

　　一方、機関投資家は、顧客と投資家の責任を負っているため、大きなリスクを取るよりも、リスクを管理・軽減し、確実な収入源を確保することに重点を置きます。債券のリターンは金利に左右されますが、金利は2008年の金融危機以来ゼロに近いため、機関投資家マネージャーは代替策を模索しています。ビットコインは大きなリターンを期待できますが、まだまだ不安定な通貨であり、いずれにせよ年金基金が運用できるほど時価総額は大きくはありません。そこで、機関投資家がビットコインを獲得しつつ、リスクを軽減する方法の1つは、

　　「ビットコインのコンタンゴ」を利用することです。2017年以降、CMEグループ、後のBakkt、インターコンチネンタル取引所によって、ビットコイン先物取引が利用できるようになっています。

　　先物取引と、ビットコインの成熟した資産への道

　　先物とは、金融派生商品の一種で、ある資産の価格が将来のある時点でどうなるかを予想して売買することです。これは、流動性市場において資産の制御やコントロール、リスクヘッジの手段として必要不可欠です。

　　先物は、例えば農家のような生産者にとってもメリットがあります。将来の生産(収穫前の作物)から得られる利益を現在において固定できるというものです。農家は、今後の作業や事業拡大のために今すぐ収益を得たいし、悪天候や疫病などによって、作物が市場に出回らないかもしれないリスクを軽減できるからです。

　　暗号資産のコンタンゴは農作物の栽培とはかけ離れているように見えるかもしれませんが、原理はほとんど同じです。ビットコインには、今の価値とリスクだけでなく、将来的な価値も存在します。この価値は、例えば1年後の価格が現在より高くなると予想されることで、測定可能です。

　　しかし、プラスのが間違っていて、1年経ったら実際には価格が下がっている場合もあります。また、ビットコインを安全に保管し、取引相手とやりとりするだけでも注意が必要です。

　　ビットコインのコンタンゴ(裁定取引)は価格が右肩上がりの時においてのみ機能します。

　　コンタンゴがもたらしてくれるメリットは、単に保有するだけのリスクを、

　　将来の価格でヘッジすることにあります。

　　価格が上昇しても、その恩恵を受けることはできませんが、下落した時のリスクからは免れることができます。

　　上昇する市場でビットコインを所有することで、利益を得ているのです。

　　ここで重要なのは「上昇する市場において」というところです。

　　ビットコインのコンタンゴ(裁定取引）は価格が右肩上がりの時においてのみ機能します。

　　2021年5月4日の例で言うと

　　・現在のビットコインの価格は56,465ドル(スポット)

　　・9月先物の価格は、59,080ドルです。

　　この場合、今ビットコインを検討している方の選択肢は

　　・バイ＆ホールド 価格がスポットで支払った金額と同じかそれ以上になることに期待する。

　　・スポットを買い、先物を売る 利益を固定し、何が起きても気にしない。

　　下表はあくまで値動きのシナリオを示したもので、仕組みを理解しやすくするようにしたものです。

　　通常の買いオプションは価格が上昇した場合、その上昇分の利益をすべて受け取れますが、価格がゼロになるまで暴落した場合のリスクもあります。しかしコンタンゴ(裁定取引)は、何が起きても5.25%の利益が固定されています。

　　この表は、先物の仕組みを単純化したものです。

　　・先物の仕組みを簡略化したもので、決済の手数料は含まれていません。

　　・CMEのような取引所での先物取引には最低価値があり、5BTCに相当するものがあります。

　　・6ヶ月先と12月2日までの分しか提供されません。

　　・現金で決済されるので、ビットコインの受け渡しがありません。

　　資金の少ない投資家がこのような戦術を必要としたり、まして採用したりすることはまずないでしょうが、暗号資産という幅広い生態系を知るための指標として、こういったことを理解するに越したことありません。

　　上記の例では何を言っているのかといえば、2021年5月4日にビットコインを買い、9月まで保持した人は、何が起ころうとこの額の利益を得るべきだ、ということです。この数字を見れば、普通の投資信託などの金利がどのように決められているか、理解しやすくなるはずです。理論上、5.25%（先物の購入手数料を差し引いた金額）を稼ぐことができるのであれば、ほかの取引であってもこの数字の周辺に収まるはずです。

　　ビットコインデリバティブのこれからも拡大し、取引方法のセクションで説明した価格発見のプロセスはどんどん改善していきます。例えばCMEは2021年4月にマイクロビットコイン先物の取引オプションを追加し、証拠金を契約あたり約25万ドルから約5000ドルまたはビットコイン価格の10分の1まで大幅に引き下げました。CMEが提供する先物取引は、CFTC（商品先物取引委員会）の規制を受けるため、期間は有限で毎月同時刻に現金決済されます。しかし、利用可能なビットコイン先物の種類はこれだけではありません。

　　ビットコイン先物のパーペチュアル契約とファンディングレート

　　ほとんどの大手暗号通貨取引所では、無期限先物契約と呼ばれるものを提供しています。

　　これらは、8時間ごとにファンディングレートが更新されるため、CMEからの固定された種類よりもはるかに流動的です。

　　ファンディングレートとは、特定の資産を8時間借りて、その価値がそのレートを超えて上昇した時にかかる費用です。アクセスするためには、取引所に証拠金を設定する必要があり、決済するまではレートが継続するため、パーペチュアル契約と呼ばれます。

　　パーペチュアル契約はレバレッジをかける方法の1つで、ファンディングレートを支払い、資産を借りることで、実際の資金よりも多くのビットコインを取引することが可能になります。ファンディングレートは、市場内の価格上昇の期待により変動します。

　　すでに説明したコンタンゴのアプローチと同様に、スポット価格でビットコインを購入し、

　　それを借りようとする人からファンディングレートを得るためにパーペチュアル契約を販売することによって、利益を獲得することができます。価格がどうなろうと、利益は確定するのです。

　　2021年5月4日のバイナンスのファンディングレートは、8時間で0.0764%でした。その期限が切れると更新されますが、この数字から粗い外挿をすると、ビットコインのファンディングレートから獲得できるであろう利益を計算することができます。

　　・0.0764×3= 1日あたり0.229%のリターン

　　・30倍すると、月平均6.9％のリターンとなります。

　　なお、上記のコンタンゴのアプローチとよく似ていますが、パーペチュアル契約のショートポジションの入金、購入、およびオープン/クローズのコストは考慮されていません。