暗号通貨とは？

　　学習内容

　　1. 暗号通貨の簡単な定義と何ができるのか

　　2. 暗号通貨の価値と健全な貨幣の概念

　　3. 貨幣の進化と金本位制

　　4. ビットコインの仕組みについて

　　暗号通貨は、インターネット上の新しいお金です。スマートフォンとインターネット環境があれば、世界中のどこにいるユーザーに対しても、非常に低コストで瞬時に送金できます。

　　例えば、定期的に海外送金する場合、暗号通貨は既存のPaypalやTransferwiseなどのサービスよりも安価で便利なものになります。現在そのような目的で、数百万人が積極的に利用しています。

　　しかしそうでありなから、そのことが人々の注目を集めているわけではありません。

　　暗号通貨は、新しいタイプのインターネットマネーとしての機能だけでなく、長期的な視点で魅力のある、非常に人気の高い投資でもあります。

　　暗号通貨に初めて接する人にとっては、この点が非常に分かりにくいのです。触ることもできない新しいインターネット通貨が、なぜそんなに価値があるのでしょうか。

　　暗号通貨はいかにして価値を持つか？

　　その問いに答えるために、少し時間をさかのぼってお金の進化をたどる旅に出る必要があります。

　　私たちがお金を使い始めた理由を理解することで、お金の根本的な特徴をむき出しにして、健全な貨幣の概念を見出すことができます。

　　健全な貨幣の特性は、今私たちが使っている貨幣と、暗号通貨が提供する改良点を比較するためのテンプレートとなります。

　　タイムトンネルの中へ

　　考古学者は、7万5千年も前にビーズや動物の歯のピアスといった収集品があった証拠を発見しました。それらは適当に集められたものではなく、耐久性に優れ、希少価値があり、明らかに特別な価値を持つ（しばしば宝飾品として使われた）ものでした。人の寿命が短く、エネルギーが限られていた当時には、作るのに相当な苦労をしたはずです。

　　また、耐久性に優れ、希少性があるため、貨幣の前身となる価値を持つ品物として、家宝や重要な儀式に使うために受け継がれてきました。

　　私たちの祖先が遊牧を止めると、専門的な技術を身につけ、余ったものを交換することができるようになりました。例えば小さな村のような規模であれば、誰が何の借りがあるという信用や信頼に基づくシステムや、牛1頭と引き換えに小麦はどれくらい、という公正な交換比率を心にとどめておくことができたのです。

　　この信用システムは、交換する物の数が増えるにつれて使いにくくなり、また交換する両者が必ずしも同じ村の人ではなかったため、実用的ではなくなりました。その解決策は、物やサービスの普遍的な交換媒体として適したものを見つけることでした。従前の収集物は当然の候補であり、こうして最初の貨幣となりました。

　　初期の貨幣として、ココナッツ、牛、米、塩（ラテン語のsalariumがサラリーの語源）などがありましたが、紀元前350年にアリストテレスが、より貨幣としてふさわしく、有用なものを明確にしました。アリストテレスの考え方は、今日でも「健全な貨幣」という概念を形成するのに適用されています。

　　その当時、金は最も優れた価値の保存と交換の媒体と見なされていました。その理由を探りましょう。

　　健全な貨幣の特徴

　　金の重要な特性は、破壊がほぼ不可能であること（耐久性）、溶融して小さな単位にできること（可分性）、比較的容易に輸送できること（携帯性）、そして分割してもそれぞれの単位が同一の特性を持つこと（可換性）です。

　　また、色や輝きという本質的価値を持つため、特筆する必要はありませんが、非常に認識しやすいものです。

　　しかし、金は作り出すことができず、困難な採掘によってのみ得ることができるので、金の保有量はとても予測しやすい変化をする傾向があります。これが金に希少性という重要な性質を与えているのです。

　　つまり、交換や価値の貯蔵手段として有用である健全な貨幣は、以下のような性質を持ちます。

　　- 耐久性がある

　　- 分割が可能

　　- 可換性がある

　　- 持ち運びできる

　　- 認識しやすい

　　- 価値の希少性

　　これは、健全な貨幣であることを測る良い基準であり、新しい貨幣の可能性を持つ暗号通貨が価値を持つかどうか、という疑問を解決する助けとなります。

　　健全な貨幣にとって重要な点は、それが自然な進化を遂げたということです。すべての文明は、地理的および文化的に異なりながら独自に貨幣制度を採用し、時間の経過とともに、より良い（健全な）交換手段や価値の貯蔵手段に自発的に引き寄せられました。

　　イタリア・ルネッサンス期（1420年頃）までは金が貨幣の主流でしたが、大量輸送が困難であるという金の弱点があったため、銀行で金と交換できる紙幣が導入されたのです。

　　金本位制

　　これが、いわゆる「金本位制」の始まりであり、金を後ろ盾とした紙幣の始まりです。1971年にアメリカのニクソン大統領がルールを変更し、金と等価交換する仕組みのない紙幣を政府が発行できるようになるまで、この制度が続きました。

　　金本位制においては、流通する紙幣や硬貨の裏づけとして、等価な金を中央銀行に預けました。つまり銀行の準備金に相当する量の金が追加されないと、通貨の供給量は増加しませんでした。

　　もちろん、健全な貨幣の黄金律の一つである「希少性」を破るものであることは周知の事実です。新しい制度では、政府がどの程度のお金をどのような目的で作るかを、私たちはただ信じるしかないのです。これはフィアットマネーと呼ばれ、文字通り「政府がお金だと言うからお金なのだ」ということになります。

　　今にして思えば、信頼、政府、そして貨幣の組み合わせが悪い結果になることは分かっていたはずです。

　　希少性が問題になるのは、お金を増やす（通貨供給量を増加させる）と、せっかくあなたが貯めたお金の価値が下がるからです。これをインフレと言います。お金のコントロールを完全に失った国ではハイパーインフレーションが起こり、お金の価値が喪失します。

　　信頼はカタツムリに乗ってやってきて、馬に乗って去っていく、ということわざがありますが、どうすれば健全な貨幣に戻り、人々の信頼を取り戻すことができるでしょうか。

　　暗号通貨はどのようにして私たちを健全な貨幣に戻すことができるか

　　健全な貨幣に戻るには金本位制に戻せばよいのですが、重い金属はデジタルの世界には不向きです。そこで、暗号通貨がその答えなのです。

　　暗号通貨は、私たちが見い出した健全な貨幣の特徴をすべて含んでおり、デジタル時代に便利でありながら、破綻する点が1つもないように設計されています。

　　暗号通貨システムは中央政府の代わりに、数学の枝の一つである暗号学に依存しています。

　　これが暗号通貨の名前の由来であり、暗号通貨を革命的なものにしています。最初の、そして最も重要な暗号通貨はビットコインです。

　　ビットコイン - 究極の健全なる貨幣

　　ビットコインの説明を始める前に、区別しておきます。大文字のBがついたBitcoinはその通貨システムを指し、小文字のbがついたbitcoinはその単位、つまり通貨そのものを指します。

　　ビットコインは健全な貨幣のすべての条件を満たしながら、単一の管理機関のリスクを伴わない、成功した最初の暗号通貨です。では、どのようにしてこの2つを両立させたのでしょう。

　　信頼の実現

　　ビットコインの最も画期的な点は、中央政府への信頼を全く必要としないことです。これは、破滅的な金融危機（2008年）やCovidパンデミック（2020年）の影響によって異常な国家債務を増加させたことから我々が学んだことです。

　　ビットコインは、通貨システムの制御を中央当局という一手から、幅広いネットワーク上にいる多くのユーザの手に移すことで、信頼問題を解決しているのです。これが、分散型という言葉の意味です。

　　もちろん、ビットコインには作者がいます（彼らについては次のレッスンで詳しく学びます）。しかし、彼らがくれた最大の贈り物は、匿名のままで、あらゆるコントロールを放棄したことです。ビットコインは、少数ではなく多数によってコントロールされることで、信頼できる健全な貨幣として成功できるのです。

　　これらすべてのユーザーは、ビットコインネットワークを維持するためのいくつかのソフトウェアをローカルで実行し、すべてのユーザーのビットコイン残高の継続的な合意を作り出しているのです。すべてのビットコイン取引は確定的なものであり、すべてのユーザーが同意しない限り任意に取り消すことはできないため、ネットワークが成長するにつれて、より安全になるのです。

　　これらのユーザー（ノードと呼ばれる）は、ネットワークをサポートし、その精度を維持する動機を与えられます。

　　暗号を使用することで詐欺や盗難から取引を保護すると同時に、誰でもシステム内のすべての取引の正確性を数学的に検証できます。

　　数学に賄賂を贈ることはできません。いくら方程式に甘くささやいたり、マッサージしたり、脅したりしても、その結果を変えることはできません。なので振り返ってみると、貨幣システムの信頼問題を解決するために数学がコンピュータと組み合わされたことは、それほど驚くことではないのです。

　　ビットコインの設計では、コインを凍結や押収したり、他人のコインを使用したり、同じビットコインを2回使用することは不可能です。同じコインを2回使おうとすると、どれか一つの取引だけが成立し、他の取引処理は失敗します。

　　0.5ビットコインを友人に送りたい場合、スマートフォンのアプリを使って個人的な銀行取引をするのと同じように、あなたの残高から0.5ビットコインが引かれ、あなたの友人に0.5ビットコインが追加することに、ネットワークが合意するように動機付けされます。

　　国の通貨とは異なり、ビットコインは全世界的な通貨システムであり、国境を意識することはありません。ほぼ瞬時に、いつでも交換することができます。ビットコインの銀行営業時間はなく、本人認証もありません。

　　しかし、健全な貨幣の原則はどうなのか、というあなたからの質問がくるでしょう。ビットコインはそれらもカバーしています。

　　- 希少性 - 2100万ビットコインしか流通せず、新しいコインは予測可能なペースで採掘されます（新しいコインが作られるプロセス）。これは、突然津波となって新しいビットコインが市場に流れ出し、インフレを引き起こさないことを意味します。

　　- 耐久性 - 多くのユーザーがネットワークを維持しているため、一度にすべてを破壊するような大災害が起きることは考えられません。

　　- 携帯性 - 単なるデータなので、携帯電話やUSBデバイス、あるいは紙上のQRコードを使うことで携帯できます。

　　- 分割性 - ビットコインは小数点以下8桁まで独自の特別な額面を持っています。ティックといいます。

　　- 可換性 - 分散型システムの優れている点は、誰も特別な免除をできないことです*; すべてのビットコインは等しく作られています。

　　2つで1つ - インターネットマネーと投資

　　ビットコインが立ち上がった時、その通貨であるビットコインはほとんど無価値でした。2010年に誰かがピザ2枚に1万BTCを支払ったときに、ビットコインはお金として使える兆しを見せ始めたのです。

　　2021年4月現在の価値でいうとこれは600,000,000米ドルに相当し、歴史上最も高価なディナーとなります。今皆さんが行っている健全なお金について学ぶ旅に出ることで、ビットコインシステムへの信頼は劇的に高まっています。

　　しかし、お金としてだれか使っているでしょうか？います。100万人以上のアクティブなビットコインアドレス（ユーザー）があります。特に、前述のハイパーインフレーションで既存のお金での購買力が低下している人や、強力な価値の貯蔵手段を求めている人々がいます。(ビットコインの普及率の測定方法については後述します）。

　　暗号通貨とは何か、そして健全な貨幣の機能をどのように実現しているのか、基本的なことはご理解いただけたと思います。最初の暗号通貨であるビットコインのデザインは、最高の健全な貨幣を探す旅において新しい局面を切り開きましたが、これはまだ始まりに過ぎません。

　　後のレッスンでは、ビットコインがどのように進化し、より多くの人に理解されることで新たな改善や改良がなされていくのか、おわかりいただけると思います。

　　ビットコインの最後のフロンティアは、ボラティリティ（変動率）です。価格と人気が高まっているとはいえ、価値が大きく変動しやすいのはビットコインがまだ初期段階にあるからで、おめでたいことに、あなたはパーティに早く参加したことになります。

　　しかし、より多くの人が所有（そして使用）することで、暗号通貨は時間とともに安定し、究極の健全な貨幣であると証明できる、理由があるのです。