パリで開催されたイーサリアムコミュニティカンファレンスでは、数々の著名なVCが、スタートアップにとってどの戦略が成功したのかを共有した。
新しい仮想通貨を市場に投入する際、ベンチャーキャピタル(VC)の資金を活用することが最も迅速な方法だと主張する声が多い。しかし、急速に進化する分野での高リスク・高リターンの事業は、大きな不確実性を伴う。パリで開催されたイーサリアムコミュニティカンファレンスでは、数々の著名なVCが、スタートアップにとってどの戦略が成功したのかを共有した。
パンテラキャピタルの投資家であるライアン・バーニー氏は、成功するためには「クジラ/VIPに焦点を当てる」か、あるいは最初から規模を拡大しようとするのではなく、裕福な顧客に独占的に販売することを勧めている。さらに、バーニー氏は成功したBlurのエアドロップを例に挙げ、プロトコル内でのユーザーエンゲージメントを最適化することに焦点を当てたよく設計されたマーケティングのエアドロップが、トラクションを増加させる方法であると指摘する。
バーニー氏は、成功しなかったケースとして、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)とインフルエンサーマーケティングの2つの例を挙げた。まずICOに関しては、最近の規制動向によって機関投資家がICOに参加することを事実上不可能になっているとバーニー氏は考えている。インフルエンサーマーケティングについては、利益相反を開示せずにインフルエンサーが宣伝し、「フロントランニング」といった手法でフォロワーを騙したりするような事例が起こり、ユーザーがインフルエンサーを信頼することを難しくしているという。
しかし、フォーサイトベンチャーズのジェネラルパートナーであるトニー・チェン氏は、異なる意見を持っている。
チェン氏にとって、インフルエンサーマーケティングは実際には「非常に重要」である。なぜなら、アプリケーション開発者はツイッターやテレグラム以外にユーザーを自分たちのプラットフォームに誘導する手段がほとんどないからだ。チェン氏はコインテレグラフに対し、「グーグルやフェイスブックのような企業は、仮想通貨企業に対して有料マーケティングを認めていない。多くのプロトコルやアプリケーションがアクセスできる集中化されたトラフィックは存在しないため、この分野のKOL(キーオピニオンリーダー)が非常に強い存在感を持っている」と語った。
しかしながら、チェン氏は無謀で極端なインフルエンサーマーケティングについて警告している。「KOLが常に何かを熱烈に宣伝するわけにはいかない。そうすれば、ユーザーは焼け野原にされ、インフルエンサーを追いかけなくなってしまうだろう」と彼は言う。プロジェクトはKOLと協力しながら、ユーザーベースと一致していること、そして彼らがユーザーに送るメッセージが会社のビジョンと一致していることを確認するべきだと同氏は述べた。「一部のプロジェクトが他と比べて成功する唯一の理由は有料マーケティングのためだ」と彼は指摘する。
同様に、チェン氏は最近のSEC対リップルの最近の判決が、創業者に非機関投資家向けのトークン販売やICOを求めるように促すはずだと考えている。「リップルのケースを見てみると、個人投資家向けICOが資金調達の唯一の正しい方法だというメッセージを送っているのではないか?つまり、機関投資家向けプライベートセールは証券を売ることとされたが、ICOは個人投資家に売られたときには合法だったのではないか?」と彼は語った。
しかし、規制の明確化がさらに進む前にICOを全面的に活用することについて、VCは警戒を呼びかけている。それでも、チェン氏は個人投資家向けの売却に対する肯定的な判断が、ICOと似たような資金調達メカニズム、例えばイニシャル・ディセントライズド・エクスチェンジ・オファリングやイニシャル・ファーム・オファリングに適用できる可能性があると語った。「私は、アメリカではICOが実際に将来資金を調達する唯一の方法になるかもしれないと思う」と彼は述べた。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン
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