確定申告と聞くと、「フリーランスや自営業者が行うもの」と思うのではないだろうか。しかし、会社員でも確定申告が必要な場面は意外と多く、税金が安くなるケースもある。今回は、確定申告が必要・不要の判断基準や手続きの流れ、納付方法などについて解説する。
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確定申告で還付受けられる!? 会社員も知っておくべき基礎知識583 閲覧数
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解説
確定申告と聞くと、「フリーランスや自営業者が行うもの」と思うのではないだろうか。しかし、会社員でも確定申告が必要な場面は意外と多く、税金が安くなるケースもある。
「確定申告は難しい」と感じるかもしれないが、一度経験すれば、確定申告のやり方を理解することは可能だ。
今回は、確定申告が必要・不要の判断基準や手続きの流れ、納付方法などについて解説する。
確定申告とは
確定申告(所得税)とは、1年間(1月1日~12月31日)の所得金額と所得税額を計算して確定させる手続きだ。
給与や不動産の賃貸収入、個人事業の売上など何らかの所得(収入)がある場合は、その所得に税金がかかる。1年間で得た所得と税金を計算し、自分で申告・納税をしなくてはならない。
源泉徴収された税金や予定納税額がある場合は、確定申告で本来納めるべき税額との過不足を精算する。翌年の2月16日~3月15日が申告期限で、期限内に申告・納付する必要がある。
確定申告が必要な人会社員は年末調整によって所得税額が確定し、納付も完了するので、基本的に確定申告は不要だ。ただし、以下の要件に当てはまる場合は確定申告が必要になる。
給与の年間収入金額が2000万円超
給与所得・退職所得以外(副業など)の合計所得金額が20万円超
2カ所以上から給与を受け取り、年末調整されなかった合計所得金額が20万円超
副業をしている会社員は、副業収入が年20万円を超えると確定申告が必要になる。仮想通貨投資による利益も副業収入になることを覚えておこう。株式投資は特定口座(源泉徴収あり)やNISA口座で取引していれば、利益が年20万円を超えても確定申告は不要だ。
会社員以外の場合
フリーランスや個人事業主は、事業所得の金額が所得控除を超える場合は確定申告をしなくてはならない。自営業者として仕事をし、その収入で生活している場合は、基本的に確定申告は必要だと考えておくといいだろう。
確定申告が不要な人
先ほど示した「確定申告が必要な人」の要件に当てはまらなければ、確定申告は不要だ。具体的には以下の通りだ。
会社員:年末調整を受け、副業などの合計所得金額が20万円以下の人
自営業者:事業所得が所得控除額以下(課税所得ゼロ)の人
年金受給者:公的年金等の収入金額が400万円以下の人(年金の全部が源泉徴収の対象の場合)
年金受給者は、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円を超える場合は確定申告が必要となる。
不要でも確定申告をしたほうがよい人
申告義務はなくても、確定申告をすると税金の還付を受けられるケースがある。確定申告によって、納めすぎた税金の還付を受けることを「還付申告」という。
還付申告は通常の確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できる。会社員の場合、次のような場合に還付申告が可能だ。
年の途中で退職して年末調整を受けていないとき
住宅ローンを利用してマイホームを取得したとき(住宅ローン控除)
まとまった医療費を支払ったとき(医療費控除)
特定の寄附をしたとき(寄附金控除)
災害や盗難などで損害を受けたとき(雑損控除)
退職して年内に再就職をしておらず、源泉徴収税額が納めすぎの場合は税金が還付される。また、各種所得控除が適用される場合は税金が安くなる。
上記の所得控除は年末調整の対象外(住宅ローン控除は2年目以降は年末調整可能)であるため、控除を受けるには確定申告が必要だ。
自営業者で赤字が出た場合は、確定申告をすると節税になる可能性がある。
青色申告事業者には「純損失(赤字)の繰越しと繰戻し」が認められている。損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除できる。また、前年も青色申告をしていれば、損失を前年に繰り戻して前年分の所得税の還付を受けることも可能だ。
確定申告は以下の流れで手続きを進める。
必要書類を準備する
確定申告書を作成して提出する
税金の納付・還付の手続きをする
それぞれ詳しく確認していこう。
必要書類を準備する
まずは確定申告に必要な書類を準備する。主な必要書類は以下の通りだ。
確定申告書
源泉徴収票(会社員、年金受給者)
収支内訳書・青色申告決算書(自営業者、不動産所得がある人)
確定申告書はAとBの2種類がある。確定申告書Aは主に会社員が対象で、申告できる所得は給与所得、雑所得、配当所得、一時所得のみだ。
一方、確定申告書Bは所得の種類にかかわらず、誰でも使用できる。事業所得や不動産所得などがある場合は確定申告書Bを使う。
会社員は勤務先から受け取る源泉徴収票が必要だ。自営業者は帳簿をつけて、青色申告決算書(収支内訳書)を作成する必要がある。
各種控除を受ける場合は、その内容に応じて以下の書類も必要だ。
保険料などの控除証明書
医療費控除の明細書
住宅ローン残高証明書
寄附金の受領証
罹災証明書
医療費控除を受ける場合は、医療費の領収書や医療費通知をもとに医療費控除の明細書を作成する。住宅ローン控除は住宅ローン残高証明書、寄附金控除は寄附金の受領証のように、所得控除の種類に応じて必要書類は異なる。
書類ではないが、その他に金融機関の口座情報やマイナンバー(個人番号)も必要だ。申告書には、還付金の振込先口座やマイナンバーを記入しなくてはならない。口座情報は預金通帳、マイナンバーはマイナンバーカードや通知カードで確認しておこう。
確定申告書を作成して提出する
必要書類が準備できたら、確定申告書を作成して管轄の税務署に提出する。
申告書の作成は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用すると便利だ。画面案内に沿って入力すれば、税額が自動計算される。作成した申告書などは、印刷して郵送または税務署に直接提出する。
e-taxを利用して、自宅からデータを送信することも可能だ。e-taxを利用するには、開始届出書の提出やマイナンバーカードの作成といった事前準備が必要となる。
自分で申告書を作成するのが難しい場合は、確定申告会場を利用するといいだろう。確定申告会場は管轄の税務署だが、別に会場を設けている場合もある。税務署の職員が作成方法を教えてくれるので、知識がなくても申告書を作成できる。
ただし、確定申告会場は利用者が多く、自分の順番が来るまでに時間がかかることがある。1回に済むように、必要書類を準備してから訪問しよう。
自営業者(青色申告事業者)で複式簿記による帳簿作成が必要な場合は、会計ソフトを利用するのがおすすめだ。帳簿作成から決算書・申告書の作成、e-taxによる申告までを一貫して行える。
会計ソフトはさまざまな種類があるので、費用や機能などを比較して、自分に合ったものを選ぼう。
税金の納付・還付の手続きをする確定申告書を提出したら、申告内容に応じて納付または還付の手続きを行う。納付税額がある場合は、納期限までに自ら納付しなくてはならない。還付の場合は、還付金の入金を確認する必要がある。手続きの詳細は、次の見出しで詳しく説明する。
税金の納付・還付納付の場合
税金(国税)の納付は、以下5つの方法から選択できる。
振替納税
e-taxを利用した電子納税
クレジットカード納付
QRコードを利用したコンビニ納付
窓口納付
振替納税は、預貯金口座から自動振替で納付する方法だ。毎年納税をする場合は、振替納税を選択するといいだろう。振替納税を利用するには、管轄の税務署や金融機関へ依頼書を提出する。
e-taxでの電子納税やクレジットカード納付は、現金を用意せずに納付できるのがメリットだ。
電子納税は事前に預貯金口座の届出をすることで、自宅からインターネットを通じて納税できる。クレジットカード納付は「国税クレジットカードお支払サイト」で手続きできるが、納付税額に応じた決済手数料がかかる点に注意しよう。
その他に、国税庁ホームページでQRコードを作成してコンビニで納付する方法、現金に納付書を添えて税務署や金融機関の窓口で納付する方法もある。
還付の場合
還付申告の場合は、確定申告書の「還付される税金の受取場所」欄に預貯金口座を記入すると、その口座に還付金が入金される。
還付金が入金されるまでには、通常1カ月~1カ月半程度かかる。e-taxで申告すると3週間程度で処理されるため、少しでも早く還付金を受け取りたい場合はe-taxで申告するといいだろう。
一部のネット銀行は、還付金の受け取りに対応してない。還付金をネット銀行の口座で受け取りたい場合は、対応可能かを事前に確認しておこう。
確定申告をしないと、通常納める税額のほかに無申告加算税や延滞税が課される。
無申告加算税は、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%を乗じて計算した金額だ。ただし、税務調査を受けるまでに自主的に期限後申告をした場合は、5%を乗じて計算した金額に軽減される。
納期限の翌日から完納する日までの延滞税も併せて納付しなくてはならない。延滞税は利率が高く、納付が遅れるほど負担が大きくなる。
「確定申告をしなくてもバレない」と思うかもしれないが、取引先の申告内容などから無申告が判明する可能性は高い。ムダな税金を払わずに済むように、期限内に確定申告をしよう。もし確定申告を忘れてしまった場合は、なるべく早く期限後申告を行うことが大切だ。
確定申告で還付を受けよう
会社員で年末調整を受けていても、確定申告で納めすぎた税金を取り戻せるかもしれない。確定申告のやり方がわからない場合は、確定申告会場に行けば税務署の職員から教えてもらえる。各種所得控除が利用できるなら、申告義務がなくても確定申告に挑戦してみよう。
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